Contemporary Art

極小美術館

2014.7/6(sun)~ 2014.9/21(sun)

No.14

観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料

小笠原 宣 個展にあたって

古川秀昭(岐阜県美術館長)

 ゴールデン・ウイーク前、小笠原宣に今回展示を予定している作品を小笠原が住職を勤める上宮寺内の一室で見せてもらって驚いた。先ず作品の構成の仕掛けに驚いた。絵画に違いないのだが、壁面は一切使わず、ある角度を保って一方向に向けて全て床置きである。次にその作品を見る場所を限定するというのに驚いた。公立美術館に日々身を置いている私には、絵画といえば99%は壁面展示を予想していたし、作品鑑賞では、できる限り鑑賞者が自由に近寄ったり離れたりして、味わえるよう工夫しているからである。
 とはいえ、そういえばこれまでの小笠原宣の展覧会場は、自分の上宮寺内であったり、どこかの建築現場であったこともあった。作品も長方形のキャンバスのこともあれば、木片の一部に描かれた作品もあり、それらが大体思いがけない見せ方をしていたことを思い出した。
 さて小笠原宣と私の出会いは1983年正月に開館したての岐阜県美術館で岐阜県美術の現況展を開催した時なのかもしれない。その展覧会の作家選考と賞選考委員は乾由明、難波田龍起、本間正義、三浦小春、担当学芸員が私だった。その時、洋画部門の最優秀作品が小笠原宣「赤い浄土」となり、それを安井賞候補展へ岐阜県美術館として推薦し、安井賞大賞受賞というあっという間の展開だった。そして小笠原宣はその受賞祝賀パーティあいさつで「ぼくは今から安井賞をきっぱり忘れます!」と宣言。小笠原宣はそれから30年、その宣言通りの生き方歩み方を続けている。今回の作品もそうした流れから僧侶であり絵描きである小笠原宣が今時の美術界とは無縁な手法で、仏陀の生きた空間に今の自分が立ち向かう壮大な挑戦をしている。

仏陀の台地 紙にアクリル(2014年制作)

小笠原宣

【略歴】
1952
岐阜県生まれ
1973
個展 京都 ギャラリー射手座
1974
京都・大谷大学真宗学科卒業
1974
在学中に下村良之介に師事
1974
個展 京都 ギャラリー観
1975
個展 岐阜 市民会館
1978
新制作協会展で新作家賞受賞
1978
個展 東京・新宿 椿近代画廊
1981
個展 岐阜 ギャラリー鮎
1983
岐阜現況展で洋画部門賞受賞 岐阜県美術館
1983
第5回中日展で佳作賞受賞 名古屋
1984
第27回安井賞展で安井賞受賞 東京・池袋 西武アートフォーラム 他
1984
個展 東京・池袋 西武百貨店画廊
1984
個展 大阪・八尾 西武百貨店画廊
1984
個展 東京・京橋 ギャラリー椿
1984
岐阜県芸術文化特別奨励賞受賞
1985
第2回アジア美術展 福岡市美術館
1985
具象絵画ビェンナーレ 神奈川・三重・福岡・宮城・高知・茨城
1986
戦後生まれの作家たち展 宮城県美術館
1986
岐阜現況展 岐阜県美術館
1986
個展 名古屋 伽藍洞ギャラリー
1987
映画『親鸞 白い道』挿入画
1987
個展 ギャラリー・コンセプト「ひとつだけの絵本」 岐阜
1988
「20年前の未来」発刊
1988
原画展 京都・名古屋・岐阜・四日市
1988
グループ展 DO展 岐阜県美術館
1989
光と風の空間展 岐阜
1990
個展 「森の人」 東京・池袋 西武百店画廊
1990
グループ展 DO展 岐阜県美術館
1991
個展 大阪 グランドギャラリー
1992
東海の作家達展 愛知県立美術館
1992
グループ展 DO展 大垣
1993
個展 「空想の森」 東京・池袋 西武アートフォーラム
1993
個展 岐阜 フォーブル美術
1994
個展 「少女の森」 岐阜 ギャラリーY’s
1994
グループ展 DO展 輪之内 輪之内プラネット
1994
グループ展 DO展 小品展 ギャラリーY’s
1995
個展 「眠りの森」 東京 ギャラリー澤井
1995
個展 「眠りの森」 岐阜 階拓堂ギャラリー
1996
個展 「森の夢」 大阪 グランドギャラリー
1996
二人展 大泉 讃・小笠原 宣 西春日 翔風館
1996
個展 「森の輝映」 岐阜 ギャラリーY’s
1999
個展 「化身の森」 岐阜 柳ケ瀬画廊
2000
個展 「心の川」 デンマーク・コペンハーゲン 日本大使館
2002
個展 「心の川」 ドイツ・ベルリン ギャラリーモヤジャイ
2002
安井賞40年の軌跡展 茨城つくば美術館 他
2003
岐阜・内モンゴル美術展 内モンゴル・フフホト
2005
個展 長浜・北ビワコホテル GRAZIEギャラリー
2010
個展 「人と人がつながる大地へ」 リトアニア・カウナス
※開催時点