Contemporary Art

極小美術館

2024.5/12(sun)~ 2024.6/9(sun)

No.48

観覧申し込みは090-5853-3766まで。入場は無料

《TIME》について

宮森敬子

 《TIME》は、2011年10月11日に始まり、ソーシャルメディア(フェイスブック・インスタグラム)に毎日記録を残している現在進行形のプロジェクトです。1日2枚の「樹拓」を同じ箇所で採集し、同じ通し番号をつけ、そのうちの1枚を選んで、私が作った透明なガラスケース(6.5×8.5×1.2cm)に収め、並べて行く作品です。

 和紙で樹の表面を覆って、自作の木炭でこすると、樹皮のパターンが写しとられます。このフロッタージュを私は「樹拓」(樹木の表面の拓)と呼んでいて、この「樹拓」の施された和紙を使って制作をしています。
 そういえばこれまでの建築廃材や廃棄物で仕立てられた円柱の服部八美の1996年ソフトピアジャパンの「常立御柱(龍宮底神)」や大野町温水プールの「ゆーみんぐ」などの作品も、彼の作品の材料を廃棄物とした生んだ壮大な建築物が突如空虚な存在となり、服部の 作品がより強靭で絶大な存在感を覚醒させているのではないだろうか。
 《TIME》の鑑賞者は希望があれば、自分の誕生日、記念日など、特別な日にちの樹拓を所有することができます。「透明なガラスケース」に入った樹拓が誰かの手に渡ると、「同じ日にちの選ばれなかったもう一枚の樹拓」が「青いガラスケース」に入って入れ替わりに置かれ、その日の樹拓はもう他の人が所有することができません。

 私たちは無数の「選択」の中にいて、同時に緩く繋がっていることを、青いガラスケースは示しています。《TIME》は誰も一人で所有することはできないけれど、部分を多くの人が所有することで、強度を増してゆく作品です。

DMイメージ

「TIME」
(2021〜2024年制作)
素材:和紙、木炭、半田、ガラス
技法:和紙にフロッタージュ、ハンダ

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「Me, The Timeless Self」
(2023年制作)
素材:和紙、木炭、ばら花弁 植木鉢、舟

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「ローズのプライド」(部分)
(2023年制作)
素材:和紙、木炭、ばら花弁 藤椅子

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「TIME」(部分)」
(2023〜2024年制作)
素材:和紙、木炭

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「TIME」(部分)」
(2023〜2024年制作)
素材:和紙、木炭

宮森敬子

【略歴】
1993
筑波大学芸術専門学群日本画専攻卒業
1995
筑波大学芸術研究科日本画専攻修了(芸術修士号取得)
【個展】
1998
「流通と大地」 (カスミつくばセンター / 茨城)
1999
「自然の印象」 (The Bob and Penny Fox ギャラリー / フィラデルフィア)
2001
「タイプライター ­– エネルギー」 (Nexus Foundation / フィラデルフィア)
2002
「イマジナ」 (Project Room / フィラデルフィア)
2003
「メロディー」 (The Society for Contemporary Craft / ピッツバーグ)
2004
「メモリア」 (Nexus Foundation / フィラデルフィア)
2011
「屋根のない鳥籠と舟」 (イセ文化基金 / ニューヨーク)
2015
「表面なるもの」 (Gallery t / 東京)
2017
「宮森敬子ドローイング展」 (be here now / 長野)
2018
「誕生・成長・回帰」 (ギャルリーパリ / 横浜)
2019
「ある小説家の肖像」 (軽井沢高原文庫・浄月庵 / 長野)
2019
「Portrait of Being」 (mhPROJECTnyc / ニューヨーク)
2020
「Surfaces of Time」 (ときの忘れもの / 東京)
2022
「宮森敬子 ­– Time」 (ギャラリーこうけつ / 岐阜)
2023
「記憶の海、ローズのプライド」 (中村屋サロン美術館 / 東京)
2023
「1000年生きた私 ­– 環世界の中で」 (mhPROJECTノコギリ二 / 愛知)
【グループ展】
1996
「いばらきバイアニュアル・ディアロゴス1996 現代性の条件」 (水戸芸術館 / 茨城)
1997
「VOCA’97現代美術の展望 ­– 新しい平面の作家たち ­–」 (上野の森美術館 / 東京)
1997
「’97 大邸アジア美術展」 (大邸文化芸術会館 / 韓国)
1997
「拡兆する美術’97 展」 (つくば美術館 / 茨城)
2001
「NURTURE art Reaches the Heights」 (Columbia Presbyterian / ニューヨーク)
2003
「DOMANI・明日」 (損保ジャパン東郷青児美術館 / 東京)
2004
「Emergent Perspectives」 (Slought / フィラデルフィア)
2007
「Greenmachine」 (The Schuylkill Center for Environmental Education / フィラデルフィア)
2008
「Ghosts and Shadows」 (The Schuylkill Center for Environmental Education / フィラデルフィア)
2009
「Wind Challenge Exhibition」 (Fleisher Art Memorial / フィラデルフィア)
2012
「How Much Do I Owe You?」 (No Longer Empty / ニューヨーク)
2018
「本をめぐる風景」 (ギャルリー412 / 東京)
2018
「第30回今立現代美術紙展 ­– 1300年祭記念展」 (今立芸術館 / 福井)
2019
「PAIRINGS」 (The Plaxall ギャラリー / ニューヨーク)
2020
「EXODUS V 歴史のうねりの中で」 (ホワイトボックス・ハーレム / ニューヨーク)
2021
「LOOP ホスピタル・アート・ライフ」 (工房親 / 東京)
2022
「池田修トリビュート作品展」 (BankART Station / 横浜)
2024
「横浜クリエイティブCOOP」 (BankART KAIKO / 横浜)
【賞など】
1995
「第6回柏市文化フォーラム104大賞展 TAMON賞」 (柏市文化フォーラム104 / 千葉)
1997
「第16回今立現代美術紙展 大賞」 (今立芸術館 / 福井)
1998
「文化庁芸術家在外派遣研修員」※〜99年 (ペンシルバニア大学 / フィラデルフィア)
2003
「WOO Grant」 (Leeway Foundation / フィラデルフィア)
2004
「1st Prize Sculpture Competition」 (Frederik Meijer Gardens and Sculpture Park / グランドラピッド)
2008
「The Leeway Transformation Award」 (Leeway Foundation / フィラデルフィア)
2009
「Visual Artist Fellowship」 (The Center for Emerging Visual Artists / フィラデルフィア)
2010
「Fellowships in the Arts」 (Independence Foundation / フィラデルフィア)
2018
「朝日新聞文化財団助成金」 (公益財団法人 朝日新聞文化財団 / 東京)
2019
「BankART AIR 2019 レジデンスアーティスト」 (BankART1929 / 横浜)
※その他、国内外でグループ展等多数。開催時点